バイオリンを始めて間もない頃、レッスンが終わった後、先生にこう言われました。
「ケースの閉め方、気をつけてね。弦よりも、まずケースで楽器を傷める人、けっこういるのよ」
えっ、ケースで傷めるってどういうこと?
楽器をしまっているだけなのに…と思った私。でも、その一言がきっかけで、バイオリンケースの使い方についてちゃんと向き合うようになりました。
今日は、そんな私の経験も交えつつ、大切なバイオリンを守るために知っておきたい**「バイオリンケースの正しい使い方」**をご紹介します。
1. ケースを開ける前に「置き方」を確認しよう
意外と見落としがちなのが、ケースの置き方。
特にレッスン会場や人の多い場所では、つい床にポンと置きがちですが、以下の点に注意しましょう。
- 必ず平らな場所に置く
- 足元や通路など、蹴られる可能性のある場所を避ける
- 蓋が開く向き(開閉方向)を自分側にして置く
蓋が自分側に開くようにしておくことで、楽器を出す時やしまう時に手元が安定し、落としづらくなります。
ちょっとしたことですが、日々の扱いで事故を防げます。
2. 楽器の出し入れは「順番」が大事
バイオリンの出し入れにも「順番」があるのをご存知でしょうか?
【出すとき】
- ケースを完全に開ける
- 弓を取り出す(弓が上に収納されている場合)
- バイオリン本体を取り出す
※弓がバイオリンの上に固定されているケースの場合、先に弓を取り出さないと、バイオリン本体に当たって傷がつく可能性があります。
【しまうとき】
- バイオリン本体をそっと収める
- 弓を軽く張りを緩めて収納
- 余計な小物(松脂・クロスなど)がバイオリンに当たらない位置にあることを確認
- 蓋をしっかり閉め、留め具をすべてロック
特に小物がバイオリンに直接触れた状態で蓋を閉めてしまうと、圧がかかって傷や亀裂の原因になることも。
クロスや肩当てなどの収納場所は、ケースの設計に応じて適切に選びましょう。
3. 弓の取り扱いにも注意
弓の毛は非常に繊細です。収納する際は、必ず毛の張りを緩めてからしまうこと。
弓にテンションがかかったまま長時間保管すると、反りの原因になったり、毛が切れやすくなったりします。
また、弓のネジ部分(スクリュー)を無理に締めすぎるのもNG。軽く緩めて、自然な状態に戻してあげるイメージでOKです。
4. 湿度管理は「見えないダメージ」を防ぐ
バイオリンは木でできているため、湿度の変化にとても敏感です。
高温多湿や極端な乾燥は、割れや歪み、音の狂いなどのトラブルを招きます。
そこでおすすめなのが、湿度計付きのバイオリンケースや、乾燥剤・加湿剤の併用。
特に梅雨時や冬場の乾燥シーズンには、
- 湿度計でケース内の湿度をチェック(理想は40〜60%)
- 必要に応じて乾燥剤(シリカゲル)や専用の加湿チューブを設置
といったケアをするだけでも、楽器の状態を安定させることができます。
5. 持ち運び時も「揺れ」と「衝撃」に配慮
バイオリンケースはしっかりしているようで、意外と内部のクッション性はまちまちです。
通勤・通学・レッスン移動時などに以下を意識してみましょう。
- 肩掛け時は楽器が揺れないよう、ストラップの長さを調整
- 自転車のカゴやバイクには極力載せない(どうしてもなら厚めのクッション材を)
- 雨天時にはレインカバーや撥水カバーを使用
ちょっとした衝撃でも、魂柱(サウンドポスト)が倒れたり、駒がずれたりすることがあります。移動時も「中に生き物が入ってる」くらいの気持ちで丁寧に扱いたいですね。
また、バイオリンがすっぽり入るシルクの大きな巾着袋のようなものにバイオリンをしまってからケースに入れる人もいます。
クッション性や弓を止める留め具の緩さなどで、弓の金具部分が楽器本体にあたり傷つくこともあるのでバイオリンの上に被せる布がある場合は必ず被せるようにしましょう!
おわりに|バイオリンケースは「楽器の家」
バイオリンケースは、単なる持ち運び用の袋ではありません。
大切な楽器を、湿度や衝撃、埃などの外敵から守る「住まい」のような存在です。
そして、その家の住人はあなた自身。
どう扱うかによって、楽器の寿命や音色にまで違いが出てくるのです。
ぜひ今日から、ケースの開け閉めや湿度管理、小物の配置などを見直してみてください。
それだけで、バイオリンとの日々がもっと安心で、心地よいものになるはずです。



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