バイオリンを大人になってから始めた皆さん、多くの方が同じ壁にぶつかります。それは「発表会で失敗したらどうしよう」という不安です。
子どもの頃に音楽教室へ通っていた方なら、発表会やコンクールというイベントはある意味「当たり前のもの」として経験されてきたかもしれません。しかし、大人になってからバイオリンを始めると、むしろこうした舞台は「非日常」であり、緊張もプレッシャーも段違いです。
今日は、そんな不安と向き合いながらも、音楽を楽しみ続けるための心構えについて一緒に考えてみたいと思います。
「失敗するのが怖い」は、努力してきた証
そもそも、「失敗したらどうしよう」と不安になる理由は何でしょう?
それは、自分なりに一生懸命練習してきた証です。
誰でも、準備もせずに臨むことには、さほど怖さを感じません。むしろ「うまく弾きたい」「成長したい」「良い演奏をしたい」という思いが強ければ強いほど、失敗への恐れは大きくなるものです。
大人のバイオリン学習は、時間との戦いです。仕事や家庭、他の趣味との両立の中で、限られた時間を捻出して努力してきたその日々があるからこそ、「本番で失敗したくない」という気持ちが生まれます。
ですから、まず「怖い」と思っている自分を否定しないでください。それは、真剣に向き合っている何よりの証拠です。
「失敗」は音楽の一部? それとも学びの種?
よくプロの演奏家でも、「本番は生き物」と言います。完璧な演奏など存在しない。どんなベテランでも、音程を外すこともあれば、指がもつれることもあります。
それでも彼らは失敗を恐れずに舞台へ立ちます。なぜでしょう?
それは、「失敗=終わり」ではなく、「失敗=学びの種」だと知っているからです。
失敗は恥ずかしいものでも、音楽を諦める理由でもありません。むしろ本番で緊張してうまくいかなかったからこそ、「次はこう準備しよう」「呼吸を意識しよう」と、自分自身を深く知るきっかけになります。
バイオリンという楽器は特に、音程もリズムも身体の使い方もすべてが繊細です。その日の体調や精神状態が音に直結します。ミスが出るのは当たり前。そこからどう立ち上がるかが、音楽の楽しさだと私は思います。
目標を「成功」に置かない勇気
大人になると、どうしても「目標は達成するもの」と考えがちです。仕事でも資格試験でも、成功がゴールであり評価です。
でも、音楽は少し違います。目標は「音楽を味わい、伝えること」であり、失敗や成功はその過程のひとつにすぎません。
もちろん、発表会で綺麗に弾けたら嬉しいし、自信にもつながります。
しかし、本当に価値があるのは「その日までの積み重ね」です。
発表会の舞台に立つために、1日5分でも楽器を触る習慣を作った。
仕事が忙しい日でも、音階練習だけは続けた。
苦手なポジション移動にチャレンジし、少しずつ音が安定してきた。
それらすべてが、すでに「成功への過程」であり、大人の音楽ライフの宝物です。
あなたの音楽は、誰かの心を動かしている
もうひとつ、失敗を怖がる方に伝えたいことがあります。
どんなに緊張して、音が震えても、リズムが乱れても、「あなたの音楽は誰かの心に届いている」という事実です。
大人はその勇気が痛いほどわかります。どんなにうまくいかなくても心の中は、『がんばって~』と自分も同じように緊張感を味わってしまうほど共感しています。だから、
聴く人は、プロの演奏家のような「完璧さ」を求めているわけではありません。むしろ、音の背後にある「気持ち」や「人間らしさ」に心を打たれるものです。
特に大人の学習者の演奏は、「好きだから続けている」「勇気を持って舞台に立っている」という背景が、音を通して聴く人に伝わります。それは失敗以上に大切なものです。
「失敗」と仲良くなる方法
では、実際に舞台の不安を和らげる方法も少しご紹介します。
- 本番を想定した練習をする
本番前の数週間は、実際の演奏順で通し練習を繰り返しましょう。小さな「擬似本番」を何度も経験することで、心が少しずつ落ち着きます。 - 失敗しても演奏を止めない癖をつける
本番で大切なのは、「失敗をカバーする力」です。多少のミスがあっても最後まで止まらず演奏する練習を繰り返しておくと、舞台でも冷静に対応できます。 - イメージトレーニング
家で椅子に座り、実際の舞台の風景を頭に思い描きながら、指や弓の動きを想像してみましょう。これだけでも、脳が「本番」を体験し、実際の緊張を和らげます。
音楽は一生のパートナー
大人になってから始めたバイオリン学習は、「完璧を目指す旅」ではなく、「音楽とともに歩む旅」だと思います。
失敗したっていい。ミスしたっていい。そこからまた練習すれば、確実に前に進めます。発表会は、その成長を「今の自分として表現する場所」にすぎません。
ぜひ、失敗を恐れずに、音楽とともに歩き続けてください。
あなたの音楽の旅を、心から応援しています。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
音楽が、日々の生活にもっと喜びをもたらしますように。



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